ある特定の曲を聴くと、ハマって聴いていた時代の思い出が浮かぶことがある。
高校生の時はロックバンドがすごく好きで、中でもsimというバンドをよく聴いていた。1番聴いていたアルバムはおそらくPANDOLAかTHE BEAUTiFUL PEOPLE で、それらのアルバムの曲を聴くと、高校2年生の時に行ったDEAD POP のことを思いだす。クソ暑い中の野外フェスで海風と汗でドロドロになりながらモッシュに巻き込まれたり踊ったりした。たしかちょうどマンウィズのメンバーがフェスの後に出てきていて、メンバーみんなと写真を撮ったのも覚えてる。被り物すぎて本人だったからいささか微妙ではあるがめちゃ嬉しかった。
同じく高校の時にはラッドもよく聴いていた。中でも絶体絶命というアルバムに入っているπという曲を本当に何度もリピートしていた。その時ちょうどいちごミルク(紙パックで120円くらいのやつ。最寄駅の改札内の自販機に確か売っていた)にもハマっていたようで、πを聴くと口の中にいちごミルクの味が広がるという身体になっていた。
先日、お風呂に入っている時にちょうどπといちごミルクのことをふと思い出し、歌い出しを鼻歌で歌おうとしたのだけど、なぜだかすっかり思い出せなくなっていた。急いでお風呂を出て、Spotifyでπを流したら曲は思い出せるのだけど、いちごミルクの味は全然しなかった。別にこんな馬鹿のパブロフの犬みたいなのに青春を費やしていたわけではないのだけど、自分の中の持ち越してきた(と思っていた)青春の端っこが、いつの間にかすべりおちていたことに気がついてかなり焦った。
さっき電車に乗る時、自販機にいちごミルク(ペットポトルのやつ)が売ってるのを見かけたので急いで買って蓋を開け、Spotifyでπをかけ、いちごミルクを流し込んだ。聴きながら飲むうちに感覚は思い出してきた。高校生の時に使っていた路線のホームの感じなんかも頭に浮かんできた。もっと鮮明にもっと鮮明にといちごミルクの味を確かめながら飲み進めていくと口の中に少し苦味を感じた。
そういえばさっきタバコ吸ったんだった。高校生の時には絶対に知らなかった雑味が甘味に加わって、高校生の時飲んだあの味を濁流のように奪い去っていく。悲しくて馬鹿みたいに思って曲をKay-onの黄色に変えた。なんたって今はヒップホップが好きなんだ。ちなみに飲み物はとうもろこしのヒゲ茶が好きだ。いちごミルクは美味いけど、もういつも飲む飲み物じゃなくなったんだ。
縋るからなんだか変に歪むんだ。悲しいかな、物事っていつもそうだ。すこししょげちゃったけど私にはまたちゃんと好きなものができている。何かが好きなうちは振り返るのはほどほどに、飽きるまでヒップホップを聴いて、とうもろこし茶を飲みまくったほうが健康にいい。なにせとうもろこし茶だし、多分ほんとに健康にいい。いつか、またいちごミルクを飲みながらπを聴くのにハマったら嬉しい。そのときは血糖値が気になるお年頃かもしれないけれど。