ささくれを気にする

話すほどのことでは

茶碗蒸しを食べる【創作】

スシロー某店に来て、2ヶ月が経とうとしている。

この2ヶ月間、ずっと茶碗蒸しを食べ続けている。寿司には目もくれず。

 

最初は茶碗蒸しを食べ続けたらウケるのでは、という出来心で初め、1ヶ月でSNSでバズり、現在は各方面から茶碗蒸しを奢りに来る人で溢れている。

 

皆きまって、わたしのことを不思議そうに眺め、ニヤニヤとしたあと茶碗蒸しを注文し、左手にスマホ、右手に茶碗蒸しの乗った皿を持って声をかけてくる。5分ほど話した後、なぜか頑張ってください。みたいなことを言われる。茶碗蒸しを食べているだけなのに。

 

というか、1人くらい寿司を持ってきて欲しい。流れで茶碗蒸しを食べているだけで、2週間ほど前から本当に寿司が食べたい。「茶碗蒸し好きなんですね!」と言われるが、そんなわけがない。普通に寿司の方が好きに決まってるだろ。

 

一度男子高校生の悪ノリでマグロが眼前まで来たことがあるが、「やめろってwwww」と言われながら皿を下げられてしまった。やめんな。そのマグロは正しい。茶碗蒸しが正しくないんだよ。人間に戻る機会を奪うな。

 

正直、困っている。無限につまれる茶碗蒸し、もう本当に辟易している。とにかくはやくスシローから出たい。誰かわたしの手を取ってコメダ珈琲にでも連れ出してくれ。スシローではないどこかへ導いてくれ。人間として扱ってくれ。